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日本家庭画報


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2022/12/12

銀座の韓国宮廷薬膳料理店「尹家(ユンケ)」“医食同源”の味をエレガントに


驚きと感動の“美味逸品” 第24回(全29回) 料理は、言葉より雄弁にその国のことを物語ります。駐日大使公邸のおもてなしを拝見し、世界各国の料理をレストランで楽しみ、珍しいスパイスやハーブに出合える食材店を巡る――私たちの周りにたくさんある“日本の中の外国”へご案内します。前回の記事はこちら>>

韓国宮廷薬膳料理「尹家(ユンケ)」(東京・銀座)

代表的な韓国宮廷料理の一つ「神仙炉(シンソンロ) 」。鯛や野菜に卵黄をからめて焼いたジョン、干しなまこ、ハチノス、肉団子など16種の具を牛肉、干し貝柱、まぐろ節でとったスープでいただく。 食べて体を整える“医食同源”の味をエレガントに 「韓国の伝統料理は野菜や果実、山菜などの素材を生かした優しい味。そして丁寧にだしをとったスープが命です。食べて体調をよくする“医食同源”の味を広く伝えていきたい」と話す尹美月(ユンミヲル)さんは、韓国の農林水産部が指定する「伝統食品名人」です。





日々厨房で研究を重ねる尹美月さんの美しさは“医食同源”そのもの。 宮廷で王や王族、王室関係者の食事を担当する「水刺間(スラッカン)」の末裔に生まれ、お祖母さまやお母さまから学んだ伝統料理のレシピをもとに、日々研究を重ねています。日本中の地鶏や牛を食べ比べるなど徹底した食材探しや、下ごしらえにも労を惜しまない尹さんが手がける料理の味は、雑味を一切感じないクリアなもの。


代表的な宮廷料理の前菜「九節板(クジョルパン)」。9つの仕切りに分けた器で東の青、西の白、南の赤、北の黒、中央の黄色という五方色を表現する。食材の味つけは1800度もの高温の窯で焼いたミネラル分たっぷりの塩のみだが、それぞれに驚くほどうまみを感じる。柚子、はちみつ、高麗人参、栗、棗を1年以上漬け込み、熟成させたソースを添えて。 鍋料理のスープはもちろんのこと、水キムチの漬け汁ひとつ取っても、もう一口食べたくなる、滋養に満ちた魅力的な味です。


「薬膳アワビ蒸し」。棗と栗、メシマコブタケ、高麗人参といった「韓方薬」の食材と蒸し鮑をどんこしいたけと昆布が主体のスープでいただく。 銀座に開業して12年。2022年2月に同じ銀座内で移転し、全室が個室でよりゆったりと食事を楽しめるようになりました。メニューはコース一本、11種の料理は「おいしいものは美しい」という言葉どおり、特注の器も含め、一品一品が目にも洗練されています。

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